食品業界で必須!粉体異物除去装置の選び方と対策法
- シロタテップ株式会社

- 3月30日
- 読了時間: 4分
食品業界をはじめとする粉粒体製造業では、異物混入は「製品の信頼」を大きく損なうリスク要因です。たったひとつの異物が、製品クレームや回収・廃棄、ブランド毀損といった大きな損害に直結します。そこで欠かせないのが「異物除去装置」の導入です。
本記事では、異物混入の原因とその対策、さらに導入時に失敗しないための装置選定のポイントまで、現場目線で解説します。
粉体に混入する異物とは?|混入リスクの種類と原因
異物には金属片、繊維、虫、包装片、作業者の毛髪などさまざまな種類があります。その多くは投入・搬送中、または保管時に発生するケースが多く、工程の見直しと装置の導入が有効です。
異物除去の方法|装置ごとの特長と活用例
異物除去には目的や対象物に応じてさまざまな方式があります。それぞれの「構造」「特長」「用途」について丁寧に見ていきましょう。
① マグネットセパレーター(金属除去)
【構造】:磁力で鉄系異物(ボルト・ナット・摩耗粉)を吸着除去。
【特長】:非接触・連続式・メンテナンス容易。
【注意点】:アルミなど非磁性体には無力。
【活用例】:粉砕設備前の金属除去、包装前の最終チェックなど。
② 振動ふるい(粒径除去)
【構造】:粉体を網状スクリーン上で振動させ、粒径の異なる異物を分別。
【特長】:異形異物やダマ、異常粒子に効果。
【注意点】:スクリーン目詰まりに注意。清掃・交換性が重要。
【活用例】:製造ライン原料投入時、粉体製品出荷前。
③ エアー分級・風力選別(比重・形状)
【構造】:空気流で軽い異物(フィルム・包装片)を飛ばして除去。
【特長】:非接触・衛生的。フィルターやメッシュでは難しい異物にも対応。
【注意点】:粉体の飛散防止対策や気流調整が重要。
【活用例】:乾燥野菜、穀物などの前処理工程。
④ 金属検出器/X線検査機(最終品質保証)
【構造】:製品中の金属異物や高比重異物を非破壊検査で検出。
【特長】:自動排出・記録管理も可能。
【注意点】:コスト・設置スペースの確保が必要。
【活用例】:包装直前の検査、異物履歴のトレーサビリティ確保。
⑤ 静電気除去+エアブロー装置
【構造】:粉体に付着した微細異物を除電と空気流で分離。
【特長】:微粉末に多い静電付着対策として有効。
【注意点】:エア圧管理と除電性能の維持管理が鍵。
【活用例】:粉末飲料、ファインケミカル製品など。
装置の選び方|導入前に確認すべき実践的チェックリスト
装置の性能だけでなく、導入現場との相性や運用性まで含めて総合的に検討することが重要です。
【1】異物のタイプを明確化する
- 金属・非金属・繊維・軽量物・粒度異常 etc
- 発生箇所と頻度、性質(硬さ・粒径・比重)
【2】粉体の性状・流動性を確認する
- 粒子径、付着性、湿気・静電気の影響
- 粉体が搬送・通過する際の挙動を把握
【3】清掃・分解・メンテナンス性を重視
- 工具不要で分解できる構造か
- CIP対応が必要か(食品・薬品業界では重要)
【4】処理量・ライン構成との整合性
- バッチ or 連続処理? 処理能力(kg/h)
- コンベアやサイロとの接続がスムーズか
【5】設置スペースと導入コスト
- 縦型・横型、既存ラインへの組み込み可否
- 初期投資とランニングコストのバランス
【導入事例】大手製薬工場での異物混入ゼロの実現
ある大手製薬メーカーでは、異物混入トラブルが年間10件以上発生していました。原因は製造装置からの摩耗粉や繊維くず。
この問題を解決するために、「X線検査装置」「ネオジムマグネット」「エアー分級装置」の3ステップ構成を導入。異物トラブルはゼロに。監査評価も向上し、海外への輸出認可がスムーズに取得できたといいます。
ご相談ください|工程全体を見据えた粉体異物対策を
異物除去装置は、単体で完結するものではなく、製造工程全体の中で“最もリスクが高いポイント”に“最も有効な装置”を配置することが重要です。
「異物が出てから対策」ではなく、「工程全体を予防視点で設計」することが、今後の品質保証の鍵になります。
異物除去装置をはじめ、粉体設備の設計・製造に精通した専門スタッフが、現場視察から実粉テスト、カスタマイズ設計まで一貫対応。
異物トラブルでお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

